アスベストはどのくらい吸うと人体への影響がある?わかりやすく解説!

アスベストはどのくらい吸うと人体への影響がある?わかりやすく解説!

「アスベスト」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。

しかし、実際に「アスベスト」をどのくらい吸うと人体に影響があるかをご存知でしょうか?

「アスベスト」は目に見えないほどの微細な繊維で、その繊維を吸い込むことでさまざまな病気を引き起こす可能性があります。

知らず知らずのうちに「アスベスト」を吸い込んでしまい、自分の肺が深刻な病気に蝕まれていた‥と考えると怖いですよね。

そこでこの記事では「アスベスト」が人体にどのような影響があるのかや子どもへの影響について、詳しく解説します。

目次

アスベストが人体に及ぼす影響は?

アスベストは、肺がんや中皮腫などの呼吸器疾患を引き起こすことが知られている発がん性物質です。

アスベスト繊維は非常に細く、目に見えないほど小さいものが多く、空気中に飛散すると容易に肺に吸い込まれます。

アスベストは肺の疾患を引き起こす

肺に吸い込まれたアスベスト繊維は、長い間肺内に留まり、肺の組織を傷つけ、炎症を引き起こします。

この炎症が長期間続くと、肺の線維化やがん化につながります。

アスベストによる健康被害は、石綿を吸い込んでから発症するまでに、15~50年という長い潜伏期間があることが特徴です。

吸い込んだ量が多いほど、疾患を引き起こす可能性が高いですが、実は短期間・低濃度の「ばく露」はまだわかっていないことが多いです。

日本では平成17年(2005年)、大手機械メーカーであるクボタが、アスベストを取り扱う工場で働いていた社員や退職者、請負会社の従業員、地域住民の間で、中皮腫など石綿関連疾患の患者が多数発生し、合計79人が死亡、現在療養中の退職者も18人に及ぶことを発表しました。

この出来事は「クボタ・ショック」と呼ばれ、日本のアスベスト問題を大きく社会に知らしめることになりました。

どれくらいの量を吸うと人体への影響があるのか

アスベストの吸入量と中皮腫や肺がんなどの発病との相関関係はある程度認められているものの、短期間・低濃度における危険度はいまのところはっきりとした結果はわかりません。

さらに、アスベストの種類によっても健康への影響に差があり、一般的に角閃石族のアスベスト(青石綿や茶石綿など)が発がん性が高いとされています

アスベストが原因となる疾患

アスベストによる代表的な病気について、それぞれ詳しく説明します。

石綿肺

石綿肺は、アスベスト繊維を長期間吸入することによって引き起こされる病気で、肺の線維化が特徴です。

肺が硬くなり、呼吸機能が低下することにより、息切れや咳といった症状を引き起こします。

石綿肺は、アスベスト曝露から10年以上経過すると症状が現れることが一般的で、進行すると日常生活にも支障をきたすようになります。また、一度発症すると完治が難しい病気です。

原発性肺がん

原発性肺がんは、肺に直接発生するがんであり、アスベストばく露はそのリスク因子の一つです。

喫煙が原発性肺がんの主要なリスク因子である中、アスベストの影響も無視できず、特に長期間にわたるばく露が問題となります。

アスベストによる肺がんは、ばく露後15~40年の長い潜伏期間を経て発症することが多く、咳や胸痛などが症状として現れます。

悪性中皮腫

悪性中皮腫は、胸膜、腹膜、心膜などの中皮細胞から発生する稀ながんで、アスベストは、中皮腫の唯一の原因物質と考えられています。

この病気の潜伏期間は非常に長く、20〜50年に及ぶこともあります。

初期症状は非特異的で、咳や胸の痛み、呼吸困難などがあり、進行すると胸水の蓄積による呼吸障害が顕著になります。

びまん性胸膜肥厚

びまん性胸膜肥厚は、アスベスト曝露によって肺を覆う胸膜が厚くなり、線維化する状態を指します。

この病変は特に呼吸困難や胸の痛みといった症状を引き起こすことがありますが、アスベストばく露の影響が必ずしも明確ではなく、他の原因でも生じることがあります。

潜伏期間は10~40年とされており、アスベストばく露の一つの指標となることがあります。

良性石綿胸水

良性石綿胸水は、アスベスト曝露による胸腔内の炎症反応により、胸水が貯留する状態を指します。

この状態は通常、痛みを伴わない胸水の蓄積により、呼吸困難や胸の圧迫感が生じることがあります。発症するまでの平均潜伏期間は15年から数十年にわたり、その期間はばく露の量や頻度に依存します。

良性石綿胸水はその名の通り、通常は良性であり、治療を要しないこともありますが、アスベスト曝露の指標となることがあるため注意が必要です。

アスベストの種類とそれぞれの危険性

アスベストにはいくつかの種類があり、それぞれ性質や危険性が異なります。

ここでは主なアスベストの種類と危険性について解説していきます。

クリソタイル(白石綿)

クリソタイル、または白石綿とも呼ばれる、このアスベストは、そのしなやかさと柔軟性で知られています。多くの工業製品や建材に使用され、特に紡織品、吹付け材、スレート板などの生産に広く利用されました。その繊維は非常に細く、空気中に飛散しやすく、吸入されると健康に深刻な影響を与える可能性があります。このため、クリソタイルを含む全てのアスベストの使用は日本では法律により2006年以降禁止されています。

耐熱性は約500度とされ、耐薬品性は蛇紋石族アスベストの中で最も低いと報告されています。

クロシドライト(青石綿)

クロシドライト、青石綿としても知られるこのアスベストは、特に強い耐熱性と耐薬品性を持っています。また、クロシドライトが持つ針状の繊維は非常に危険で、吸入すると肺の組織に深刻な損傷を与える可能性があります。

青石綿の繊維は体内で分解されにくく、長期にわたって肺に留まることで健康被害を引き起こすことが知られています。実際、クロシドライトの危険性は他のアスベスト類と比較しても特に高く、肺がんや中皮腫などのリスクを大きく高めます。そのため、使用は世界的にも厳しく制限されています​​​​。

アモサイト(茶石綿)

アモサイト、または茶石綿は、耐熱性と化学的耐性のバランスが特徴です。

アモサイトの繊維はクロシドライトほどではないものの、やはり人体に有害であり、特に肺に損傷を与えるリスクが高いとされています。

アモサイトの危険性についても、長期間の曝露が肺がんや中皮腫などの重大な健康被害を引き起こす可能性があるため、多くの国でその使用が制限または禁止されています。

アモサイトの有害性はクリソタイルよりも高く評価されており、特に労働環境においてその管理と取り扱いには最大限の注意が必要とされています​​​​。

トレモライト

トレモライトは、天然に存在するアスベストの一種で、主に緑色や白色をしています。この石綿は、断熱材や建材などに用いられていた過去があります。

しかし、トレモライト繊維を吸入すると、深刻な健康リスクを引き起こす可能性があります。

特に、肺がんや中皮腫、アスベストーシスなどの病気が、長期間にわたるばく露後に発症する可能性が高いと指摘されています。

そのため、現在では使用が厳しく制限されているものの、過去の建築物などにはまだ含まれている場合があり、注意が必要です。

アクチノライト

アクチノライトは、アスベストの中でも特に硬質で、緑色から暗黒色を帯びることが特徴です。このタイプのアスベストは、過去に耐火ブレーキや絶縁材として利用されていました。 

アクチノライトは、他のアスベスト繊維と同様に、健康リスクが高いです。

肺疾患や中皮腫の原因となる可能性があるため、現在では仕様が全面的に禁止されています。

 特に、長期にわたるばく露は人体にとって非常に危険ですので、適切な管理と除去が求められています。

アンソフィライト

アンソフィライトは、灰色から褐色を呈するアスベストで、他の種類に比べると比較的希少です。断熱材や防火材としての使用歴がありますが、その健康への影響も非常に深刻です。

アンソフィライト繊維の吸入は、肺疾患や中皮腫のリスクを高めると考えられており、特に長時間にわたる接触は避けるべきです。

現在では、アンソフィライトを含む製品の使用は全面的に禁止していますが、古い建造物などでは注意が必要です。

子どもへのアスベストの影響

アスベストが健康に大きな被害を及ぼすことがおわかりいただけたと思います。

さらに気になるのは胎児や子どもへの影響です。

妊娠中にアスベストを吸い込んでしまった場合、胎児に影響があるのでは?と不安になる方のために胎児や子どもへの影響について解説します。

胎児への影響はない

アスベストは主に呼吸器系に影響を及ぼす物質であり、胎児への影響については今のところ報告されていません。また、妊婦への影響も同様に報告されていません。

ただし、アスベストの影響については、引き続き研究が行われており、将来的に新たな情報が得られる可能性もありますので、最新の研究結果や専門家の意見などの情報収集を積極的に行いましょう。

子どもでも吸引すれば悪影響になる

子どもがアスベストを吸引した場合、長期間にわたる健康への影響が懸念されます。

アスベストは非常に微細な繊維で、一度肺に入ると、そこから体外に排出されにくい性質があります。

成長段階にある子どもは、その体の小ささや発達途中であることから、大人に比べてアスベストによる健康被害を受けやすいです。

特に、学校や保育園などの建築物が古くアスベストを含む材料で作られている場合、改築や解体作業中に飛散するアスベストを吸引するリスクが高まります。

安全対策として、改修工事は子どもたちが不在の時に行う、工事現場から距離を取る、適切な飛散防止対策を行うなどの注意が必要です。

アスベストにばく露してしまう原因は?

現在では使用禁止されていますが、アスベストは過去に建築材料や工業製品などに広く使用されていたため、現在もアスベストによる健康被害が問題となっています。

ここでは、アスベストにばく露してしまう原因について、3つのケースに分類して詳しく説明します。

職業ばく露

職業ばく露は、特定の産業や職種で働く人々がアスベストにさらされることです。

かつてアスベストは、その耐火性や絶縁性などの特性から、建設材料、自動車のブレーキパッド、断熱材など多岐にわたる製品に使用されていました。

そのため、建設業、造船業、自動車修理業などで働く人々は、製品の加工、取り扱い、解体作業中にアスベスト繊維を吸入するリスクが高まります。

特に古い建物や設備の修理、解体作業を行う際に、アスベストが飛散しやすく、職業ばく露の主な原因となります。

家庭内ばく露

家庭内ばく露は、住宅の建築材料や家庭用品に含まれるアスベストによるものです。古い住宅では、アスベストが含まれる断熱材、天井材、床材などが使用されていることがあり、これらが劣化することで繊維が飛散し、家庭内の空気を通じて吸入されるリスクがあります。

また、アスベストを含む古い家電製品や石綿セメントパイプなどの水道設備からも、微細なアスベスト繊維が放出されることがあります。

日常生活の中で知らず知らずのうちにばく露することがあり、特に家の改修や修理を行う際に注意が必要です。

近隣ばく露

近隣ばく露は、近隣で行われる建設作業や解体工事からアスベストが飛散し、周辺地域の住民が無意識のうちに吸入してしまうケースを指します。

特に、アスベストを含む建材を使用した古い建物の解体や改修作業が行われる際、適切な飛散防止措置が取られていないと、アスベスト繊維が周辺の空気中に放出されやすくなります。

風に乗って長距離を移動することもあり、周辺住民が知らないうちにばく露するリスクが高いです。

このため、工事現場では飛散防止のためのカバーの設置や水を使った抑制方法などが推奨されます。

法律によるアスベストの規制は?

ここまで解説してきたようにアスベストは私たちの生活に大きな影響を与える可能性がある物質です。

そのため、国がアスベストの使用に関する法を定めました。

ここでは法律によるアスベストの規制について詳しく解説します。

平成18年9月以降はアスベストを含む建材の事実上の禁止

平成18年9月1日から、石綿(アスベスト)を含有する建材の製造、輸入、提供、譲渡、使用が全面的に禁止されています。

この措置は、石綿の健康への悪影響が明らかになったことに基づき、将来にわたって人々をアスベストのばく露から保護することを目的としています。特に建築業界での使用が主な対象となっており、既に建築物に使用されている石綿については、その劣化や建築物の解体・改修工事における石綿ばく露のリスクが懸念されています​​。

現在、工事を行う場合は建物にアスベストが含まれるか調査が義務化されている

「工事の際にアスベストが飛散するのでは?」と思われるかもしれませんが、そのような心配はしなくても大丈夫です。

平成17年(2005年)に制定された石綿障害予防規則により、建築物の解体、改修、リフォーム等の工事においては、アスベスト含有の有無を事前に調査し、その結果を3年間保存することが義務付けられています。特に、令和3年(2021年)4月からは、この事前調査結果の記録作成・保存が具体化され、工事を行う元請け業者に対する義務として定められました。

さらに、令和5年(2023年)10月以降は、この調査を行う者が厚生労働大臣が定める講習を修了した者であることが必要とされています​​​​。

住宅のどこにアスベストが含まれている?

アスベストは安価で工業用原料として優れていたことから、さまざまな場所で使用されてきました。

ここでは主にどのような場所で使用されていたのか、解説します。

1.屋根やその下地

1970年代以前、多くの建物では屋根材や外壁材、内装材などにアスベストが使用されていました。

アスベストを含む屋根材は、主にスレートと呼ばれる薄い板状のものです。

スレートは、セメントと繊維状のアスベストを混ぜて作られています。

また、アスベストは屋根の下にある断熱材や吹き付け材にも含まれている可能性があります。

これらのアスベスト含有建材は、経年劣化によって繊維が飛散し、それを吸い込むことで健康被害を引き起こす可能性があります。

特に、屋根の修理や改修、解体作業などを行う際には、アスベスト飛散のリスクが高くなります。

2. 外壁やバルコニーの仕切り板

外壁材やバルコニーの仕切り板にも、アスベストが含まれている可能性が高いです。

特に、サイディングと呼ばれる外壁材やバルコニーの仕切り板にも、アスベスト含有の化粧板が使用されていました。

3. 洗面所やトイレの床・壁

洗面所やトイレの床・壁には、ビニル床タイルや化粧板など、アスベストが含まれている建材が使用されていました。

これらの建材は、経年劣化によって破損し、アスベスト繊維が飛散する可能性があります。

4. ベランダの防水層

ベランダの防水層にも、アスベストが含まれていることが多いです。

特に、アスファルト防水材やFRP防水材には、アスベストが使用されていました。

5. 配管周辺

配管周辺の保温材や断熱材にも、アスベストが含まれている可能性が高いです。

これらの建材は、破損や劣化によってアスベスト繊維が飛散するリスクがあります。

アスベストの除去と費用

かつて建築材料として広く使われていたアスベストは、近年その健康被害が明らかになり、除去が推奨されています。しかし、アスベストの除去には専門知識と技術が必要であり、費用も高額になる場合もあります。

次に、アスベスト除去に関する基礎知識と、費用相場、補助制度、自治体への相談窓口について解説します。

専門業者による除去の必要性

アスベストは、繊維状の鉱物で、肺に吸い込むと石綿肺などの深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

アスベストを含む建材の解体や改修は、飛散防止対策を徹底した上で、専門業者による除去作業が必要です。

絶対に 以下のような 自己判断による作業は行わないでください。

  • アスベストを含む建材を素手で 触 る
  • アスベストを含む建材を切断 する
  • アスベストを含む建材を粉砕 する

これらの行為は、アスベスト繊維を飛散させ、健康被害を招く可能性が高くなります。

費用相場

アスベスト除去の費用は、以下の要素によって大きく変動します。

一般的に、アスベスト除去の費用相場は、1㎡あたり 1万円 ~ 8万円 程度 です。

  • レベル1 (飛散性が高い): 1.5万円 ~ 8万円 /㎡
  • レベル2 (飛散性が中程度): 1万円 ~ 6万円 /㎡
  • レベル3 (飛散性が低い): 3千円 ~ 4万円 /㎡

上記はあくまで目安であり、実際の費用は業者によって異なるため、必ず複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。

補助制度

アスベスト除去には、国や自治体による補助制度があります。

国の補助制度

  • 石綿障害予防対策事業費補助金: アスベスト含有建材の調査・分析費用の一部を補助
  • 石綿障害予防対策事業費補助金: アスベスト除去工事費用の一部を補助

自治体の補助制度

自治体によって、独自の補助制度を設けている場合があります。

詳細は、環境省や各自治体のホームページなどで確認できます。

自治体への相談窓口

アスベストに関する相談は、各自治体の窓口で受け付けています。

  • アスベストの種類や除去方法
  • 補助制度
  • 業者選び

など、様々な疑問について相談できます。

以下に相談窓口の例を示します。

環境省 石綿対策ホームページ: https://www.env.go.jp/air/asbestos/

厚生労働省 石綿健康被害救済: https://www.mhlw.go.jp/seisaku/06.html

まとめ

この記事ではアスベストの人体への影響についてや法規制などについて解説しました。

平成18年9月以降の建物はアスベストの心配はありませんが、平成18年9月以前の建物の場合はアスベストが含まれている可能性があります。

もし、ご自宅が平成18年9月以前に建てられたものである場合は、アスベスト調査を実施することをお勧めします。

アスベスト調査は、専門業者に依頼しましょう。

調査の結果、アスベストが含まれていることが判明した場合は、適切な除去作業を行う必要があります。

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この記事の執筆者

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アスベストナビ編集部

アスベストナビ代表。アスベストについての総合情報をまとめたポータルサイト「アスベストナビ」を運営している。アスベストの健康被害から法制度の改正まで、幅広い知見を提供する。

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